みなさんは「家族が死んだら銀行口座が凍結されるからお葬式の費用が出せなくなるよ」と言われたことってありませんか?
筆者は葬儀料金の積立(互助会的なもの)を勧められた時に銀行口座の凍結の話を知りました。
ポイント
しかし。よく考えてみると筆者は実父が亡くなった時に実父名義の通帳から葬儀費用を引き出しています。
これは勝手にした事ではなく、亡くなった父から頼まれていた事です。
実のところ「家族が死んだら銀行口座が凍結されるからお葬式の費用が出せなくなるよ」と言う話は本当なのでしょうか?
死んだ人の銀行口座は凍結されるの?


死亡届が左右する?
「銀行口座が凍結される…って言うけれど、死亡届を出さなければ銀行だって分からないんじゃないの?」と思った事ってありませんか?
そう言えば筆者は死亡届を出すまでに亡くなった父の葬儀費用を引き出しています。
しかし本当にそうなのでしょうか?
実は死亡届を提出したからと言って、役所から銀行に対して死亡情報が通達される…なんて事はありません。
「でもマイナンバー制度が導入されたしなぁ…」と思われるかも知れませんが、2016年10月時点では、役所から死亡情報が銀行に流されている…と言う事はないようです。
マイナンバー制度が最終的に目指すところは、行政的な個人情報も銀行や郵便局の口座も一括して管理する事かも知れませんが、少なくとも現時点でそこまで管理されている訳ではありません。
銀行口座の凍結はどのタイミングで行われるのか?
では、銀行口座の凍結はどのタイミングで行われるのでしょうか?
ポイント
普通の人達の場合、家族が申し出ない限り銀行口座の凍結は行われないようです。ですから、死亡後も凍結されない口座も多く存在します。
著名人の場合、新聞の訃報欄やニュースで銀行が死亡を確認すると銀行口座の凍結が行われるようですが、一般の人達の場合は家族が申し出をしない限り、銀行口座が凍結される事はないようです。
銀行口座が凍結される理由
銀行口座はどうして凍結されるのでしょうか?
預金口座の財産というのは故人固有の財産です。
故人の相続財産となりますので、たとえ家族であっても勝手に引き出すことはできません。
家族の誰かが勝手に口座から現金を引き出してしまって、他の相続人から銀行の過失(本人確認の不手際)などを指摘されると銀行としては困る事になります。銀行はリスクを回避するために銀行口座を凍結するのです。
実話
筆者の知人は親が亡くなっていない状態の時に「危篤状態で動けない」と言うことを銀行員に漏らしてしまったため、銀行側は「動けない人間がお金を引き出せるはずがない」と判断したのか、本人が行きている状態で銀行口座の凍結を行いました。珍しいケースなのかも知れませんが、実際に起った出来事です。
死んだ人の銀行口座は使い放題?
本人が亡くなった後も銀行口座が凍結されない…となると、通帳やカードの管理を任されていた人は自由に銀行口座のお金を使える…言うことになりますよね。
注意ポイント
しかし、もし他の法定相続人の同意を得られない状態で勝手に故人の銀行口座からお金を引き出してしまうと、最悪訴えられてしまう可能性があります。
要するに「銀行口座の凍結」と「遺産の相続」は全く別の話なので「勝手に使っちゃってもOK」と言うわけではありません。
まとめ
「家族が亡くなったら銀行口座が凍結されるから葬儀費用が払えなくなっちゃう」と心配する必要はありません。また、銀行口座が凍結されたとしても凍結された銀行口座は手続きをすれば解除する事が可能です。
もちろん「もしも」の時のための葬儀費用などは家族間で分散して持っておくに越した事はありません。
ただ葬儀費用の積立等のセールスの人が「御本人が亡くなったら銀行口座が凍結されて葬儀費用が払えなくなる」言ってきたとしても、慌てて入会しなくても大丈夫ですから安心なさってくださいね。
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