最近、親族が亡くなって火葬した後の遺骨を捨ててしまう人が増えているようです。
ポイント
「捨てる」と言っても、もちろんゴミとして捨てるのではないのですが、お墓を立ててたり、お寺の納骨堂に納骨する費用が無いと言う理由から、電車の網棚等にわざと忘れたり、お寺や神社などに放置するケースが後を絶たないのだとか。
今回は遺骨を埋葬するお金が用意出来ない時の方法についてをお届けします。
お墓を買うお金が無い!
目次


だけど、それって法律的にはアウトなのよね
ポイント
お墓を買うお金が無いからと言って遺骨を放置するのは法律で禁じられています。
遺骨の放置は厳密には死体遺棄罪が適応されます。遺骨は定められたしかるべき保管場所以外に放置すると「死体遺棄」とみなされて、3年以下の懲役が課せられるます。
ただ、現実的には「埋葬する費用が無い」等の理由を考慮して「忘れ物」と言う形で処理される事が多いようです。
お墓を建てるにはお金がかかる
注意ポイント
お墓を建てるために必要な経費は大きく分けると「永代使用料」「墓石の料金」「管理料」の3つに分けられます。
永代供養料とはお墓を設置するための土地を使う権利の事。
もちろん「墓石」自体の費用も必要です。
管理料はお墓を管理してもらうための料金で、墓地を持つ場合には必ず必要となります。
公営墓地にするか、民営墓地にするか、墓石のランクによっても費用は変わってきますが、新規にお墓を建てるとなると主要都市の場合200万円~500万円(管理費除く)が必要だと言われています
お墓を建てなくてもお金がかかる?
遺骨の管理には以外とお金が掛かります。
最も費用が掛かるのははご存知の通りお墓を建てて納骨することです。
最近ではお墓を持たない方が増えていて、お寺や公園墓地等の納骨堂に納骨するケースも増えていてきていますが、それでも最低でも10万円以上の費用がかかってきます。
また、お墓にしても納骨にしても、1度納骨したらそれで終わりではありません。供養のための費用が別途かかることも多いようです。


納骨出来ない下流老人
2015年6月に藤田孝典氏が発表した『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』と言う本が話題になったのを覚えておられる方も多いかと思うのですが、日々の生活に困っている高齢者が増えているようです。
残念な事に今後はもっと下流老人が増えると危惧されているのが現状です。

誰にでも起こる可能性があるのよ

火葬後の遺骨を持ち帰らないと言う選択も
一般的に遺体は火葬場で火葬した後、お骨上げをして遺骨を骨壷に入れて持ち帰るのですが、遺骨は必ず持ち帰らなければいけない訳ではありません。
地域差があるのですが、関西ではそもそも骨壷のサイズが小さくて骨上げをするのは遺骨の一部なのです。
多くの遺骨はそのまま火葬場に残される事になります。火葬場の方に「残った遺骨はどうなるのですか?」と聞いてみたところ「火葬された方のお骨をまとめて専用の埋葬地に埋葬します」との事でした。
「遺骨を持ち帰らない」と言う選択もアリだそうです。


条例により遺骨の持ち帰りが義務付けられている県もあります
残念ながら遺骨を全て持ち帰らなければならない地域もあります。
ポイント
東京、神奈川、千葉では葬場運営に関する条例で遺骨を持ち帰る事が義務付けられています。ですから大阪のように「全て置いてくる」と言う方法は不可能です。


散骨もタダではありません!
遺骨の問題を語る時「お金無いなら散骨してくれたらいい。海にでもまいてくれ」と気軽に言う方がおられますが、散骨するにも費用がかります。
散骨はルールを守って行う必要があり、それを破ると「死体遺棄罪」が適応されてしまいます。
散骨をする多くの方は散骨業者にお任せする事になるかと思います。散骨はお墓を作る事を考えれば費用はかかりませんが、それでもお寺等に納骨するくらいの金額が必要です。
散骨に関する詳しい記事
-
散骨ってどうなの?法律・費用・手続き。
映画やドラマを観ていると「私が死んだらお墓はいらないわ。思い出の海にまいてちょうだい…」なんて場面がありますよね。 知恵 ...
少しだけ持ち帰って手元供養
遺骨を全て置いてくる事が不可能なら「少しだけ持ち帰る」と言う方法があります。
ポイント
無宗教、あるいは「仏教形式でお葬式をしたけれど、お墓はいらない」と言う方の間で「手元供養」と言う考え方が流行っています。遺骨を加工してダイアモンドや小さな仏像を作ったり、ミニ骨壷に遺骨を入れて自宅で供養する……と言う方法です。

遺骨でダイアモンドを作ってくれる業者さんはいくつかあるようですが、費用はざっくりと50万円程度。ペンダントトップに遺骨を少量入れるタプのものだと数万円。ミニ骨壷だと2万円~5万円程度で用意出来るようです。
手元供養に決まったルールはありません。手に乗るくらいのサイズの骨壷に遺骨を入れてお仏壇で供養される方や、ペンダント等に加工して身につけている方も。
手元供養をする場合に注意したい事
手元供養は「魂は遺骨に宿るものではない。仏教的な考えでも四十九日を過ぎると魂は浄土に行くとされているので問題はない」と言う考え方がベースになっています。
しかし実際に手元供養をされている方の中には「親戚に反対された」「気味悪いと言われる」とおっしゃっている方もおられます。
手元供養をされる場合はトラブルにならないように周囲の方、あるいはご自身が納得してされる事が大切です。
まとめ

費用が掛かるんですね
「無い袖は振れない」ではありませんが「埋葬する費用がない」と言う状況もあるかと思います。
しかし、亡くなった方のためにも、何よりご自身のためにも「捨てる」と言う選択は不可能です。
もし、どうしても埋葬出来ないのであれば少しだけ遺骨を持ち帰って手元供養するか、火葬場に全てを託してしまうのが賢明かと思います。
お墓を持つにしても、持たないにしても、大切なのは故人とご遺族の気持ちです。
「こうしなければいけない」という固定観念に振り回される事なく、ご自身が出来る範囲で亡くなった方を供養して戴きたいと思います。
合わせて読みたい
-
散骨ってどうなの?法律・費用・手続き。
映画やドラマを観ていると「私が死んだらお墓はいらないわ。思い出の海にまいてちょうだい…」なんて場面がありますよね。 知恵 ...
-
ゆうパックで遺骨を送る「送骨」について。
葬儀の後の遺骨はお墓を作ってお墓に納骨するのが一般的でしたが、最近はお寺に納骨したり、自然葬だったりとスタイルが変わって ...
-
死んだ人の銀行口座は凍結されるので葬儀費用が引き出せないって本当なの?
みなさんは「家族が死んだら銀行口座が凍結されるからお葬式の費用が出せなくなるよ」と言われたことってありませんか? 筆者は ...