以前、夫の死後に夫の親族と縁を切るための「婚族関係終了届」についてご説明しましたが、婚族関係終了届を提出して、夫の親族と縁を切っても旧姓に戻れる訳ではありません。

「夫の死後、心機一転して旧姓に戻りたい」と言う場合は、夫の死後「復氏届」を提出すると、旧姓に戻ることができます。
今回は「復氏届」の手続きについてご説明します。
復氏届を提出して旧姓に戻る
目次
復氏届ってどんな感じ?
- 復氏届を提出すると、亡くなった配偶者の戸籍から抜けて結婚前の戸籍に戻ります。
- 結婚前の戸籍に戻りたくない場合は、分籍届を別に提出すれば、新しい戸籍を作ることもできます。
- 復氏届は本人の意思で自由に提出する事が出来ます。
- 復氏届を提出する時、家庭裁判所の許可や、死亡した配偶者の親族の同意は必要ありません。
復氏届で旧姓に戻った場合でも、配偶者との親族関係はそのままで、扶養の義務や姻族としての権利は、継続することになります。
メモ
復氏届で注意して戴きたいのは、亡くなった夫との間に子どもがいる場合です。復氏届で旧姓に戻るのは、あくまで母親だけです。子どもは夫の姓を名乗り、夫の戸籍に入ったままです。
母親が復氏届を提出すると、母親と子どもの姓は別々になってしまいます。
子供を母親の戸籍に入れるには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」を提出して許可をもらう必要があります。
「子の氏名変更許可申立書」を届け出た後で「入籍届」を提出すれば、子どもを母親の籍に入れて、同姓を名乗ることができます。
復氏届は配偶者の死亡届が受理されていれば、いつでも届出ることができます。
「復氏届」と「姻族関係終了届」の違い
復氏届
結婚して配偶者の姓を名乗っていた人が、旧姓に戻ることができる手続きです。
姻族関係終了届
配偶者の死後に継続される、配偶者の血族との姻族関係を終了させる手続きです。
メモ
この姻族関係は、配偶者と離婚した場合には自動的に消滅しますが配偶者が亡くなった場合には、配偶者の血族との姻族関係はそのまま継続されることになります。
イメージとしては、夫の死後、婚族関係終了届を提出して、夫の親族と縁を切り、復氏届を提出して旧姓に戻る…って感じですね。

「復氏届」は旧姓に戻すために提出する届出

復氏届を提出して旧姓に戻っても配偶者との親族関係(義理の親子、親戚関係)はそのまま継続します。
夫の親戚と縁を切りたい場合は、必ず「婚族関係終了届」を提出してください。
- 復氏届を提出しても相続に影響を及ぼすことはありません。
- 名字が変わっても夫の遺族年金の支給資格がなくなるわけではありません。

復氏届の入手方法
復氏届はお住まいの市区町村役場で貰えます。

復氏届の提出先は届出人の本籍地または住所地の市区町村役場です。
ダウンロードも出来ます

札幌市のホームページでダウンロード出来る復氏届は全国共通で使う事が可能です。
ダウンロード版が欲しい方はこちらから
復氏届(札幌市ホームページ)
復氏届届の書き方
復氏了届は名前、住所、本籍地等を指定されたところに書いて捺印するだけですから、難しいことはありません。

復氏届の書き方
日付欄
届出する年月日を書きます。
役所に持っていったときに記入しても大丈夫です。
復氏する人の氏名欄
復氏する人の氏名と生年月日を記入します。
昭和○○年や平成○○年と書いてください。
住所欄
自分が民登録をしている住所と世帯主の氏名を記入します。
本籍欄
現在の本籍と筆頭者の氏名を、戸籍謄本の通りに書き込みます。
復する氏・父母の氏名・父母との続柄欄
復する氏を書き、父母の氏名と続柄を書きます。
父母が離婚している場合は、それぞれ離婚後の氏名を書きます。
復氏した後の本籍欄
婚姻前の戸籍に戻る場合は「もとの戸籍にもどる」にチェック(レ)を入れて、戻る先の本籍と筆頭者の氏名を書きます。
復氏する者を筆頭者とする新しい戸籍を作る場合には「新しい戸籍をつくる」にチェック(レ)を入れて、新しい本籍と筆頭者の氏名を書きます。
死亡した配偶者欄
死亡した配偶者の氏名と死亡年月日を書きます。
その他欄
特に書くことがなければ空欄にします。
届出人の署名押印欄
署名押印します。印鑑は認印で大丈夫です。(※チャチハタ不可)
国際結婚の場合
外国人の配偶者が死亡した場合の復氏届については「亡くなった日の翌日から3か月」を経過してしまうと、届出に際して家庭裁判所の許可が必要になります。
復氏届を提出する時に必要な物
復氏届を提出する時は「復氏届」の用紙以外も必要な物があります。
何度も窓口に足を運ぶ事のないように、全て揃えた状態で行ってくださいね。
婚族関係終了届を提出するのに必要な物
- 復氏届 1通
- 戸籍謄本(全部事項証明) 1通
- 印鑑
「復氏届」で旧姓に戻るのは本人のみです
先ほども簡単に説明しましたが「復氏届」で旧姓に戻るのは復氏届を提出した本人だけです。
子どもはそのまま配偶者の戸籍に残り、姓は変更されません。
メモ
子どもの姓を変更し、旧姓に戻った方の戸籍に入れる場合は、家庭裁判所に「子どもの氏の変更許可申立書」を提出し、許可審判を受けた後に、地方自治体の役所に「入籍届」を提出して、戸籍を移す手続きが必要です。
この手続きにより、子どもも復氏届を提出した人と同じ戸籍に入り、同じ姓を名乗ることができるようになります。
50代以上の女性が復氏届の提出を考える場合、お子さんがいらしても成人しているパータンが多いかと思いますので「子どもの氏の変更許可申立書」と「入籍届」手続きについては、ここでは省略させて戴きます。

「復氏届」のメリットとデメリットとは?

「姓(名字)」はナイーブな問題なので「これが正解です」と言い切る事は出来ません。
「夫の死後、夫の姓を捨てるなんて夫の関係が薄れてしまう」と考える人もいるのも事実です。
ただ「婚族関係終了届を出して夫の親戚と縁を切りたい」とか「復氏届を出して旧姓に戻りたい」と考えている女性にとって婚族関係終了届と復氏届を提出するのは、メリットはあってもデメリットなんて無いかと思います。
お子さんが反対するケースもあるかと思いますが、母と子は別の人間です。
残された人生は自分自身が楽しく生きていけるように、前に進んで戴きたいな…と願わずにはいられません。
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