親を扶養に入れると税金が安くなる!と言う話を聞いた事ってありますか?
子育てが一段落した50代、60代の世代がこれから考えなければいけないのは、介護と自分達の老後の資金の確保です。
生活費にしても、税金にしても出費は出来るだけ抑えたいですよね。
別居の親を扶養家族に入れるメリットや手続きについてお届けしたいと思います。
別居中の親を扶養家族に入れる
目次

親のメリット
- 健康保険料が無料になる
- 仕送りを受け取る事が出来る(仕送りを受け取っていることが前提のため)
自分達のメリット
- 所得税、住民税を節約できる
- 親の医療費控除を利用できる
親世帯は子どもからの仕送りを受け取り、子ども世帯は税金対策が出来る訳です。
親を扶養に入れると、どのくらい節税できるの?

親を扶養にいれると、親の年齢と、同居か別居かによって、計算上「扶養控除」として所定額を収入から差し引く事が可能になります。
所得控除額
親が70歳未満 | 38万円 |
親が70歳以上で別居 | 48万円 |
親が70歳以上で同居 | 58万円 |
住民税
親が70歳未満 | 33万円 |
親が70歳以上で別居 | 38万円 |
親が70歳以上で同居 | 45万円 |
金額は2018年10月現在の情報です。
別居の親を扶養家族に入れる条件
「別居の親を扶養家族に入れる」と言っても「社会保険の扶養に入れる」のと「税金面での不要に入れる」のとでは条件違います。

社会保険で別居の親を扶養家族にする場合
健康保険上の扶養社会保険での扶養の場合は別居の家族でも被保険者本人から扶養されていることが認められれば扶養とすることができます。
大学進学等で別居している子どもも扶養家族として親の社会保険を使えるのと考え方は同じです。
親をあなたの社会保険面での扶養に入れることができれば、親は自分で負担していた健康保険料の負担がなくなります。
ただし「不要に入る」と言っても親の年収に条件が付けられています。
別居の親が社会保険の扶養家族に入る条件
- 親の年収が180万円未満(60歳未満は130万円未満)
- 子の年収が親の年収の2倍以上ある
親が子どもの扶養に入れるという事は「親の生計を助けています」という前提が必要なので、親の収入よりうわ待っている必要があるのです。

主婦がパートで働く場合も、年収が130万円を越えないように調整して働くのと同じだと覚えてください。
扶養家族に入れたい親の収入の上限
60歳以上 | 年収180万円 |
60歳未満 | 年収130万円 |
親が75歳以上なると「後期高齢者医療制度」の被保険者になるため、親は子どもの社会保険の不要に入ることが出来ません。
税金面で別居の親を扶養家族にする場合
税制上の扶養制度の場合所得税と住民税に大きく関係してきます。
扶養する親族の状況に従って税金控除額が変わってくることになります。
税金面で親を扶養家族にするため条件
- 子どもが親と生計を1つにしている(仕送りしていればOK)
- 親の年間の合計所得金額が38万円以下
課税所得の38万円以下というのは、これも主婦のパートと同じ考え方で「夫の扶養家族入る時は103万円以内」と言う風に年収を調整していますよね?
メモ
親の収入が公的年金の場合はこの103万円の壁が108万円から158万円まで引き上げられます。公的年金は給与所得ではなく「雑所得」として扱われるんですね。
公的年金の雑所得は親の年齢によって控除額が変わります。
公的年金は65歳以下は70万円まで、65歳以上は120万円までの非課税枠が設けられています。
基礎控除の38万円も加算されるので扶養に入れたい親の収入は
税金面で別居の親を扶養家族に入れたい場合の親の収入
65歳未満 | 収入が年金のみで年間108万円以下 |
65歳以上 | 収入が年金のみで年間158万円以下 |
普通、扶養控除の金額は38万円ですが、70歳以上になると控除金額が48万円になります。
扶養は6親等以内の血族と3親等以内の姻族なら扶養に入る事が可能なので、場合によっては夫婦両方の親を扶養家族にすることも可能です。
扶養する親の人数が増えれば控除額も増えていくので所得税や住民税はさらに安くなります。
ざっくり計算すると親の収入が130万円だった場合、子ども世帯の扶養家族に入ることで、親は保険料だけで毎月2万円ほど負担が減ります。
そして子ども背板も年間で5万円ほどの節税になります。
親を扶養に入れる手続きって?

扶養は大きく「健康保険上の扶養」と「税金上の扶養」があります。
実際の手続きも2つそれぞれで行う必要があります。とはいえ、前述の要件さえ満たしていれば、手続きそのものは比較的簡単ですので、ご安心ください。
健康保険で別居の親を扶養家族にする手続き方法
健康保険上、別居の親を扶養家族に入れたい場合は子(あなた)の勤めている会社を通して行います。
扶養親族対象の要件をクリアしたら、以下の書類を健康保険の担当部署に提出してください。
費用な書類
- 親の戸籍謄本(あなたとの続柄が分かるもの)
- 仕送りを証明するもの(通帳の記載、現金書留の控えなど)
仕送りを証明する物ですが「毎月、手渡しだったので証明するものはありません」と言っても認めてもらえません。必ず、何か証明出来る物を残しておいてください。
税金面で別居の親を扶養親族にする手続き方法

要件を整えた状態で、年末調整のときに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出するだけで完了します。
健康保険上の扶養と同じく「仕送りを証明するもの(生計を一にしていることの証明)」は添付する必要があります。
別居の親を扶養家族に入れたときのデメリット

親が75歳未満であっても、子供の扶養に入ることで、親の所得区分が現役並み世帯と見なされる可能性があります。
メモ
親が高額医療を受けていたり、月々に一定以上の通院費や薬代がかかっている合、医療費自己負担額の増加分が節税額を上回ってしまう事もあります。

やってみる価値はアリです!
「なんだか、ちよっと面倒臭いな~」と思ってしまうかも知れませんが、もしご両親を扶養家族に入れる条件が揃っているのなら扶養家族に入れてしまった方が断然お得です。
「たかが数万円」と感じる方がおられるかも知れませんが、主婦がパートで稼ぐとなるとそう簡単ではありませんよね?
長い目で見るとけっこうな金額になってしまいます。1年、2年の事ならまだしも10年20年となってくると…
年間5万円×20年=100万円

該当しそうな方は是非、チャレンジして戴きたいと思います。