今の日本は「親の介護は子どもがして当たり前」と言う風潮ですが、今の老人達と違って働き盛りの世代は思うように年収が上がらないので「自分達の生活で精一杯」と言う世帯が増えています。

メモ
親世帯にある程度の資金があるか、または子ども世帯に資金があれば、介護サービスを利用して「介護の外注化」が考えられますが「お金もないし、時間もない」と言う方も多いかと思います。

親自身に年金が充分あったり、貯金があったりするなら問題はないのですが、自分達家族が生きていくだけでも精一杯なのに「親を引き取れ」「自宅で介護しろ」と言われても無理ですよね?
友達はケースワーカーをしている知人のアドバイスを受けて、親に生活保護を受けてもらいつつ介護施設で暮らしてもらうという選択をしました。
自分の親に生活保護を受けさせる

生活保護のイメージ
- 母子家庭等で生活が苦しい
- 「働きたくないでござる」タイプの怠け者
- 病気で働けない
- 生活保護費でパチンコ行っちゃうようなクズ
もちろん生活保護受給者をひとくくりにする事は出来ませんが、上記のようなイメージを持っている方が多いのではないでしょう?
生活保護と言うと良いイメージを持っていない人が多いのですが、数字の上だけでみると生活保護を受給している人達の約半数は高齢者世帯なのです。
生活保護の受給資格

「健康で文化的な最低限の生活」の枠から外れた瞬間に受給資格が発生します。


生活保護を受給出来る人
- 援助してくれる身内、親戚がいない
- 資産(財産)を持っていない
- 働けない
- 1から3を満たした上で月の収入が最低生活費を下回っている
高齢者の場合「3」はクリア出来ている訳ですから、「1」と「2」が当てはまるのであれば、生活保護を受給しながら介護サービスを受けられる可能性があります。

1.援助してくれる身内、親戚がいない
改めてご説明する事もないかと思いますが、あなたが親が同居している場合、親は生活保護を受ける事が出来ません。
ですが別居の親が認知症等にかかって1人で生活をするのが難しい状態になった場合、必ずあなたが親を引き取って親の介護をする必要はないのです。
法律的な解釈はこちら
メモ
- あなたの親が生活保護を申込みした場合、地方自治体から3親等以内の親類に対して「扶養照会」というものが届きます。
- これは生活保護を受けたい人の援助ができるかどうかを親や兄弟、3親等以内の親類に確認する書類です。

ただし、この書類って紙切れ1枚で片付いてしまうものなのです。
知らない方が聞くと意外に思われるかも知れませんが扶養照会が届いても「生活に余裕が無いので援助出来ません」と書いて返信すれば、それ以上突っ込まれることはありません。
2.資産(財産)を持っていない。
貯金や土地、車などの資産(財産)を持っている場合、その土地や貯金を売却してからではないと生活保護を受けることができません。

もし親世帯に財産がある場合、持っている財産を使い果たした時点でしか生活保護を申請する事は出来ません。
メモ
- 入所が可能ではあれば親の財産を処分したお金を使って介護施設への入所をオススメします。
- 介護施設へ入所出来ない場合は最大限に介護サービスを活用していく方向で動いていきましょう。
理想論だけで言うなら「仕事を辞めて、親を引き取って、自宅で介護」となるかと思うのですが、自分達の生活を守っていくことも大切です。
3.働けない
生活保護は働けない人しか受給する事が出来ませんが、介護が必要な高齢者の場合、この項目はクリア出来ているも同然です。
1から3の状態を満たしている状態で、月の収入が最低生活費を下回っている
ここまでの①~③の条件を全て満たした上で、年金、児童手当などの収入が入ってきたとしても、厚生労働省が定めた最低生活費の基準額を下回っていれば生活保護を受けることができます。
メモ
- 最低生活費の基準額については住んでいる地域や年齢によって変わります。
- 厚生労働省が公開している資料と、親の年金額をくらべてみてください。
- 知らないだけで、最低生活費以下の年金しか貰っていない高齢者は少なくありません。
生活保護で暮らしている高齢者

ポイント
生活保護を受給中に1人で生活する事ができなくなってしまった場合、担当のケースワーカーと相談した上で…と言う流れになりますが、生活保護を受給しながら入居出来る施設の紹介を受ける事が出来ます。

まとめ

「放置すると死ぬと分かっている状態で放置する」と法律違反になってしまいますが、法律的な手続きをすることで「国に面倒を見てもらえる状態」になるかも知れません。
親の介護も大切ですが、親を介護することで子ども世帯が自滅してしまわないように、活用出来る制度は是非活用して戴きたいな…と思います。